秋の味覚☆明知鉄道 きのこ列車
赤沢自然休養林で紅葉を楽しんだ翌日は、中央本線で恵那にやってきた。
恵那から明智までを結ぶ明知鉄道は、1日に1本の急行列車「大正ロマン号」を利用して、グルメ列車を運行している。
通年運行の寒天列車をはじめ、お花見弁当、山菜、きのこ、じねんじょ、枡酒と、四季の味覚を愉しめるラインナップだ。
どれも存分に魅力的だけど、きのこ党としては「きのこ列車」は見逃せない。
なかなか人気のある企画列車で、特に土日はすぐに埋まってしまうので、予約が取れた時は胸が弾んだ。
1日1本の急行・大正ロマン号
中央本線でJR恵那駅に到着。
駅前広場は、木をふんだんに使った温かい雰囲気だ。
明知鉄道 恵那駅はJR恵那駅のすぐ隣。
さらにその隣には、恵那市観光物産館「えなてらす」があり、地元の特産品が並ぶ。
「えなてらす」を覗いた後もまだ時間があるので待合室でまったり過ごす。
きのこ列車は満席らしいが、他のお客さんの姿はまだない。
待合室には、恵那市公式キャラクター・エーナちゃんと、明知鉄道公式キャラクターのてつじぃ。
エーナちゃんの微妙な腕の角度がものすごく良い。
のんびりしていると、きのこ列車目当てのお客さんがちらほら集まってきた。
きのこ列車は予約制の企画列車。
食事と往復運賃(1日フリー乗車券)で5,500円。代金は事前に支払い済みだ。
改札で受付をしている駅員さんに名前を言うと、今日の日付が入った通行手形をくれた。これはフリーきっぷで今日一日乗り降り自由になる。
1225 恵那発
急行7009D 大正ロマン1号 明智行
きのこ列車。
専用のヘッドマークが付いている。テイストの不統一感が可愛さを増している。
きのこ列車に使われる「大正ロマン号」は、イベント専用列車ではなく、普通の急行だ。
4両編成で、1〜3号車までの3両が要予約のきのこ列車。4号車は普通のお客さんが乗っている。
3号車と4号車の温度差が凄いことになりそうだが、地元の人は慣れっこなのだろう。
ちなみに、4両編成はホームに収まらないので、先頭の1号車がはみ出る。
「大正ロマン号」という名から、大正ロマンのコンセプトを想像していたが、全然そんなことはない潔さ。
きのこづくしに舌鼓
さて乗り込むと、さらに驚く。
ロングシートに沿って会議室の机みたいのが並べられている。
ロングシートの車両で食堂車。見たことがないが、アリである。
食事がしづらいロングシート車に、テーブルを運び込んで食堂車にしてしまおうという発想が新鮮だ。
途中駅での乗降もなければトイレもないので、通路が狭くなっても問題ないのだ。
机には滑らないテーブルクロスシート。
お膳が並べてあり、蓋の上にお品書きが乗っている。
蓋を開けてみると、目に飛び込んでくるきのこたち。
あみ茸、ロージ茸、赤茸、香茸など、初めて見るきのこも沢山。これをご縁にお近づきになりたい。
エビの下にひっそりと隠れていた鮎の甘露煮も美味しい。
各車両の端では松茸ご飯をよそって、席に運んでくれる。松茸ご飯はお代わり自由で、お願いするとまたよそってきてくれる。
ほかほかの松茸ご飯から漂う香り、幸せな気分で満たされる。
しばらくすると温かい松茸の土瓶蒸しが運ばれてくる。お猪口に注いで頂くが、揺れる車内では難しい。
さらにしばらくして、温かいお茶も運ばれてくる。
持ち込みOK なので、お酒を持ち込んで飲んでる人もいる。
明知鉄道の車内にはトイレがないのでお酒は諦めた。
なお、松茸ご飯と土瓶蒸しは毎回必ず出しているが、お膳の中のメニューは日によって違うそうだ。
この列車は、明知鉄道で1日1往復のみの急行。
恵那ー明智は普通列車で約49分。ところがこの大正ロマン号は54分かかる。
急行で駅を飛ばすのに、所要時間は普通列車より長い。
ガイドさんいわく、食事を楽しむために速度を落として走っているということだった。
こうなると、急行を利用してグルメ列車を始めたのか、
グルメ列車をやるために急行を始めたのか、卵が先か鶏が先か、気になって仕方がない。
終点明智駅まで、54分。
まず目で楽しみ、香りを堪能し、舌でじっくり味わうきのこづくしのお料理を前にして、時間はあっという間に過ぎた。
食事に夢中で車窓を気にする暇がなかった。景色は復路の楽しみに。
1319 明智着。
ホームには地元の魅力を詰め込んだヘッドマークが並んでいる。
すぐ近くに大正村があるからか、明智駅はちゃんと大正ロマンしていた。
地元の高校生が作ってくれた、待合室の座布団。
一人だけ横向く「え」がかわいい。
明智駅の売店で、滑り止めの砂を小瓶に詰めた「すべらないお守り」を購入。これは高座のお守りにしよう。
(2019.10.27)