青春18きっぷで日帰り!ぐるり桜めぐりの旅―後編―
12:26身延着。
身延線の山梨県内は単線で、上下線が同時刻に身延駅で待ち合わせる。
その列車時刻に合わせて、身延駅前から身延山行きのバスが出ている。
12:45発の山梨交通のバスに乗り込み、終点身延山下車。約12分、290円。
しだれ桜の里、身延山久遠寺(身延)
バスを降りるとそこは門前町。
土産物屋や仏具店が並ぶ中をてくてく歩いて5分ほどで見事な桜と観光案内所が見えてくる。
日本三大門のひとつ、「身延山久遠寺 三門」。
門を抜けると、「菩提梯」と呼ばれる287段の石段。
これほど真っすぐ一直線な石段を初めて見たという純粋な驚きが何よりも勝る。
石段は「南無妙法蓮華経」の7字になぞらえ、7つの区画に分かれていて、区画ごとに小さな踊り場がある。
一段一段の蹴上が結構高く、太ももに効く。明日筋肉痛確定だ。
ひたすら続く階段を見上げてため息をつきつつ、ふと脇に目をそらすとこんな光景が。
登りきると涅槃に達するという287段。
涅槃に達したかは分からないが、見上げるとそこには五重塔と桜。
樹齢400年のしだれ桜はこちら。
もうすっかり葉桜となってしまっているが、静かな存在感を放ち境内に佇んでいる。
見ごろは3/25頃だったそうだ。
身延線は毎年春に臨時列車が設定されており、今年は3/23に「しだれ桜の里みのぶ」号という列車が運行されていた。しだれ桜の見ごろを狙うなら、臨時列車の運行時期に訪れるのも良いかもしれない。
久遠寺本殿への道は菩提梯の他に、「男坂」「女坂」という2本の参道がある。
帰りは石段を降りず、男坂から下ってみたが、結構急な山道。砂利で足元が滑って、一歩踏み出すたびに神経が張り詰める。石段の方が、足元が固く安定しているぶん楽かもしれない。
身延山での滞在約1時間。13:52発の路線バスで身延駅に戻る。
浮世絵のような光景!富士山本宮浅間大社(富士宮)
身延駅からは再び身延線。
身延 1410 → 富士宮 1509 /身延線 富士行
富士宮駅から徒歩10分ほどにある、富士山本宮浅間大社。
天気が良ければ、鳥居の向こうに富士山が見えるはずだ。
さて今日は・・・
富士山と桜のコラボ。
桜はちょうど見頃で、境内には多くの人が。
駐車場ではひっきりなしに大型バスが行き交う。観光客だけでなく、ファミリー層や学生グループなど地元の人も多い。
楼門も社殿も鮮やかな朱色。そこに青空と桜がよく映える。
広重の浮世絵のような色の景色が目の前にある。
参拝後は、目の前のお宮横丁へ。
ここには、富士宮やきそばやお好み焼き、餃子、甘味などのお店が軒を連ねる、富士宮グルメのテーマパーク!
ぐるっと見て回ったのちに選んだのは昭和23年創業、最も老舗の「すぎ本」さんのイカやきそば。
透き通っているようにも見える麺はモチモチして独特の食感。
このお宮横丁へ来るのは2度目だが、前に来た時も同じ店で同じものを食べた気がする。
隣の席に座ったお姉さんが美味しそうにビールを飲んでいる。時間があったらちょっと一杯やっていきたかったけど、まだ先が長いので我慢我慢。
駅に戻って再び身延線へ。
富士宮 1622 → 富士 1642 /身延線 富士行
静岡県に入るとローカル線の風情は薄れ、次々に人が乗っては降りていく。もう都会の空気だ。
富士駅で駅そば!大正10年創業「富陽軒」
終点・富士駅の身延線ホームには駅そば屋さんがあったので寄ってみた。
大正10年創業。身延線の駅7店舗で駅弁販売を手掛ける「富陽軒」。
中でも創業と同時に営業開始した店舗がここ、富士駅だ。
オーソドックスなメニューが並び、そばとうどんが選べる。
「揚げたてかきあげあります」の文字に惹かれ、天ぷらそばをオーダー。
注文してから揚げてくれるかき揚げは熱々サクサク。小エビがゴロゴロ入っている。
サクサクの中に感じた謎の食感、正体はグリンピースだった。
麺は黒く、つゆも黒い。味はかなり濃いめ。
そして、なんとこの店にはそば・うどんの替え玉があるのだ。
そば屋で替え玉は珍しいが、つゆが濃いのにも納得。
桜とSL!山北鉄道公園(山北)
富士 1714 → 沼津 1735 /東海道本線 熱海行
沼津 1744 → 山北 1845 /御殿場線 国府津行
桜めぐりの旅を締めくくるのは、山北鉄道公園。
沼津で東海道本線から御殿場線に乗り換える。
御殿場線は、ロングシートで座れないほど混んでいた。
山北まで約1時間。昼間はあっという間だけど、混んでいるうえに日が落ちて景色が見えなくなると、鉄道旅は途端に退屈になってしまう。
山北駅はこの時間、改札無人となるので、車掌さんにきっぷを見せて降りる。
駅前に出ると、灯りがぽつぽつ。
観光案内所も閉まった後の駅前は人もまばらで静かだ。
跨線橋を渡って駅の南側へ。
暗めの自然な暖色のライトアップで落ち着く。
今日は山北さくらまつりの最終日。夜になると賑わいは薄れ、散歩している地元の人とぱらぱらすれ違うのみ。
御殿場線沿いの約130本の桜並木。
一日の終わりにちょっと寄り道してふらっと桜を眺め、帰途につく。
桜の向こうに見える駅の明かり。
列車が去ったあとの、時間が止まったようなひとときに、ずっと浸っていたくなる。
(2019.4.7)