九四フェリーで四国へ

日曜の朝、5時。
おんせん県のビジネスホテルを後にして、駅まで歩く。

早朝なのに人が多い。
朝5時台の路上には酔っ払いがそこかしこに繰り出していた。
昨日の夜に着いた時は普通の町だったのだが、今はすれ違う人、あらかた酔っている。
繁華街の中を通り抜けてきたせいもあるけれど、そこここに地面に寝てる人がいる。
いつもなのか連休だからなのか、おおらかなのか無防備なのか、むしろ治安が良い証拠なのか、もはやよく分からない。

6時過ぎに駅から発車した列車はまるで終電みたいな雰囲気だったけれど、
途中駅からジャージ姿の高校生がパラパラと乗ってきて、やっと一日の始まりという感じになってきた。

臼杵駅 駅名標

臼杵駅着。
目に飛び込んできたのは、石仏や城下町のイメージからはちょいとかけ離れたラブリー駅名標。

外へ出て振り返ると駅舎は何だか船っぽい。
なんとなく潮の香りがするような気がしてきた。これから港へ向かう。

臼杵駅 駅舎

今日は臼杵港からフェリーに乗って四国へ渡る。

九州と四国を結ぶフェリーは5つの航路がある。
臼杵―八幡浜便を選んだのは、両港とも鉄道駅から歩いて行ける距離にあり、私のような節約旅行者および徒歩客に優しいからだ。
この航路は九四オレンジフェリーと宇和島フェリーの2社が就航している。
今日の行程は四国に入ってから高知まで向かうため、本数の少ない予土線の接続を考えて、朝7時台の便があるオレンジフェリーを予約した。

臼杵港フェリーターミナル

フェリーターミナルに着くとオレンジフェリーの窓口が1つだけ開いていて、6、7人並んでいる。
予約メールを見せて、運賃を払う。
2等(大人) 2240円

臼杵港フェリーターミナル

フェリーちゃんぽんの幟が気になります。

乗るのはこの船、「おれんじ四国」。

フェリー

徒歩乗船はこちらから。

乗船口
タラップ
船内案内図

ここでもフェリーちゃんぽん推し!

船内ホール
売店

船内は、感染防止対策ということもあり、リクライニングシートは1つおきにテープが貼られている。
最近は、映画館や競技場もこんな風に座席が市松模様状になっていますな。

船内 リクライニングシート


カーペットにも利用不可エリアがテープで示されて〇×ゲームみたいになっている。
ここは1つおきとか、そういうことじゃないような気がしなくもないが……

船内 カーペット室

7:45 臼杵港から出港。
海に出ると晴れてきたが、風が強く、9月なのに少し寒い。

デッキ

一通り船内を探検した後、売店へ。
やっぱり食べておくしかあるまい。

ちゃんぽん

フェリーちゃんぽん680円!
注文して10分くらい。
具だくさんでお腹も満たされます。

売店は意外に早く閉まることがあるので、お食事の方はお早めに。

8:50頃、左手に佐田岬半島が見えてきた。
青空に風力発電所の風車がくっきり見える。

佐田岬半島

長い。ひたすら長い。

風車

船旅は陸が近づくと旅の終わりを感じて寂しくなるのだが、
八幡浜まであと1時間、佐田岬半島を見ながらのんびりと進む。

10:00 八幡浜港着。

フェリー

何ともレトロなターミナルビル。

八幡浜フェリーターミナル

ターミナル前のタクシー乗り場にタクシーは1台もいない。
すぐ側の「道の駅みなっと」にバス停があったが……

バス時刻表

うん、ちょうど乗れるのはないね。


が、想定内なので問題なし。八幡浜駅まで徒歩25分。
私の旅では余裕で徒歩圏内です。

暑さと日差しの強さでついつい速足になり、なんと20分で着きましたとさ。

八幡浜駅 駅舎

駅の窓口で「四国満喫きっぷスペシャル」を購入。

このきっぷは、JR四国が通年で発売している「四国フリーきっぷ」(大人16,440円)の期間限定版。
普通列車自由席が3日間乗り放題で8,000円という破格のきっぷ。
発売期間が2020年7月1日~9月21日ということで、今回はこれを利用して四国を回ろうという魂胆です。

八幡浜駅
改札
跨線橋

さて、八幡浜駅。
9月なのに漂う夏休み感。
初めて来たのに何とも懐かしい感じの駅。

ここから宇和島に行き、宇和島から予土線に乗車。
以前来た時に予土線から見た四万十川をもう一度見たくてやってきたものの……

混んでる。予土線ものすごく混んでる。
座れないどころかつり革にすらありつけない。

海洋堂ホビートレイン
海洋堂ホビートレイン「かっぱうようよ」

そういえば今日、高知の宿が全滅していて、こまめにキャンセルチェックして直前にやっと取れたんだっけ……。
県内の宿が全部埋まるほどの人が高知に向かって移動していれば、そりゃ1両編成の予土線も満杯になるわな。

宇和島から窪川まで約2時間。
踏ん張った足がぷるぷるしてる。
フェリーに次ぐ今日の旅のメイン・予土線は、そんなわけで車窓の写真が1枚もない。

1345 窪川着。

窪川駅は、新しく運行を開始した観光列車「時代(トキ)の夜明けのものがたり」仕様になっていた。

窪川駅 駅舎正面
窪川駅
窪川駅 待合室
待合室 テーブル
時代の夜明けのものがたり 幟

1504 高知着。

坂本龍馬・中岡慎太郎・武市半平太の像

いつもは夕暮れまで列車で移動して暗くなる頃に宿泊地に入るパターンのためあまり観光できていなかった高知。
今日は少し時間があるので、桂浜に行ってみる。

駅隣の「こうち旅広場」観光案内所で「MY遊バス」のパスを買った。

「MY遊バス」は、とさでん交通が運行する観光用周遊バス。
朝8時~17時台で平日は6往復、土日祝は9往復が運行されている。
1日券は1000円でMY遊バス乗り放題、片道は路線バス桂浜線を利用可。路面電車の市内均一区間も乗り放題。
どうせなら朝から1日めいっぱい使う方が得には違いないけれど、桂浜まで往復するだけで元が取れてしまう。
なお、MY遊バスは五台山を経由するため、所要時間は路線バス桂浜線の方が早い。

やってきたMY遊バス。龍馬さんたちが描かれている。

MY遊バス

15:40 高知駅発。
高知駅から桂浜方面に向かう最終便。
各停留所に貼ってある便名のボード。運転手さんが「通過しました」の札を最終便の欄に移動させていく。
これで今日はもうバスが来ないことが分かる。
旅先で初めて乗るバス路線は、バスが来るのか来ないのか、遅れているのかもう行ってしまったのか分からなくて不安になる時がある。良いシステムだ。

16:32 桂浜着。

「龍馬に大接近」というイベントをやっている。龍馬像の右隣に展望台が組まれていて、顔の高さまで登ることができ、龍馬が見ている景色を見ることができるのだ。
展望台への入場料は100円。

龍馬に大接近 ポスター
龍馬像と展望台


途中に顔出しパネルがあるが、誰か下で待機してないと撮影できない。

これが龍馬目線。

展望台から見た龍馬像
展望台眺望案内

小一時間ほど浜を散歩していると、空がうっすら赤くなってきた。

せっかくだから日没まで見届けていこう。

桂浜の夕暮れ

(2020.9.20)