高座初めは波乱のスタート?!高松・別嬪寄席
早朝、東京駅。成田空港行きのバス停に並んだ。
いつになく長い列ができていた。
「予約なし」の列に並んでいたら、乗り切れず目の前で乗車が打ち切りとなった。
15分後に来た次のバスに乗り込んだ。
第3ターミナルに着いたのは7時ちょっと前。
搭乗予定のJetstar高松便は7:55出発。
国内線は1時間前に着けば間に合うと認識していた私は、モニターをさらっと見て出発ゲートを確認すると、一直線にセキュリティチェックに向かおうとして・・・足を止めた。
保安検査場から長蛇の列が伸びている。
第3ターミナルの保安検査場は、建物出入口からショップエリアに向かって進み、鞄屋の角を右に曲がって100mほど歩いた所にある。
その鞄屋の前まで並んでいる。人がぎっしり。6列くらいか。
こんな事は初めてだ。
まだ30分以上あるが、出発までに抜けられるか不安になってきた。
落ち着かず貧乏ゆすりしながら待っていると、アナウンスが。
「ただいま、保安検査場が大変混雑しています。連日、お時間に間に合わずお乗りになれない方が出ています。」
こんな放送も初めて聞いた。
飛行機に乗るのは随分久しぶりだけど、これまでにも連休などの混雑が予測される時期に利用したことはある。
今日もただの三連休のはず。私が知らない間に一体何が?
出発時刻30分前になっても保安検査場には届かず、焦りが増してくる。
今日はレジャー旅行ではない。
高松の落語会に呼んで頂いたのだ。
開演は14時。遅れるわけにはいかない。
万が一、この便に乗れなかったらどうなるのだろう?
交通遅延や自身のミスによって旅程が崩れる危険が生じた時、即座に迂回ルートのシミュレーションを始めるのは乗り鉄の性だ。
まず、空路。そもそも変更不可のチケットであるし、この後の便では間に合わない。また、おそらく空席もない。
となると、搭乗不可が確定した時点で東京駅まで戻り、山陽新幹線で岡山、瀬戸大橋渡って・・・
これなら何とか間に合いそうだけれど、幾らかかるんだろうか。
いろんな意味でどっと冷や汗が出た。
Jetstarの看板を持ったスタッフが回ってきて、「宮崎行の方はいらっしゃいますか?」と声をかけている。
宮崎行は7:25発。もう出発時刻は過ぎている。
1組、2組と、列の中からピックアップされていく。
宮崎便に続いて、7:30発の松山便のお客さんも呼ばれていった。
この感じだと、高松便もいよいよとなったら呼び出してくれるかもしれない。
LCCは基本、搭乗受付締切時刻に間に合わなければ絶対に待ってくれないというリスクを承知の上で利用しているが、この時はまさに藁にも縋る気持ち。
やっと保安検査場の入口が見えた!と喜んだのもつかの間、中にはイベント会場の待機列のようなパーテイションが組まれていて、迷路みたいなコースを人がグルグルとまわっていた。
途中で2列に分かれる。A列かB列か、抜きつ抜かれつ、結局大差ないのだろうけれど、今は1秒でも早い方に行きたい。
保安検査場を抜けるのに40分かかった。
セキュリティチェックを終えたところで、念のため搭乗ゲートを最終確認しようと出発案内のモニターを見ると、高松行のゲートは「搭乗終了」という表示になっていた。焦る。
始めに確認しておいたゲートへダッシュ。
着いたのは出発時刻5分前。座席はまだ半分くらいしか埋まっていなかった。席に座るなり、とりあえず安堵で腰が抜けた。
そこから残りの乗客が次々に到着し、機内はほぼ満席に。出発時刻から約10分後に離陸。
関東の空はどんよりとした雲に覆われていたが、厚い雲の層を抜けると一面の雲海が広がった。
ネタをさらおうと思っていたが、どうにも力が入らない。
ぼんやりと窓を眺めていると、目に飛び込んできた凛々しいお姿。富士山。
切り替えて気持ちの良い一日を始められそうだ。
高松空港で席亭の春日家みっちさんご夫婦が出迎えてくださり、会場へ。
良く晴れた讃岐の空に聳え立つ高松シンボルタワー。
以前、宇野からのフェリー旅の終わりに、高松で出迎えてくれたこのタワー。
会場は5Fの「e-とぴあかがわ BBスクエア」。
情報通信交流館「e-とぴあ かがわ」は、ITを活用した機器の体験や学びを提供している参加体験型施設。
このホールで収録された映像は、ロビーの大型モニターにも中継され、インターネットで生配信される。
「別嬪寄席」は、今回で17回目を迎え、選ばれし別嬪のみが出演できる女性アマチュア落語家オンリーの寄席。
地元の方に愛され、大盛況の落語会。毎回楽しみにしてくださっているお客様も多い。
開場早々に前の方からどんどんと埋まっていき、場内の155席があっという間に満席。
ロビーの観覧スペースにも100名ものお客様。
これまで体験したことのない規模の落語会で実はかなり緊張しておりましたが、気づけば会場の温かい空気にすっかり馴染んでいました。
演目は鉄道落語ではないけれど、ちょっと鉄アレンジも。ことでん路線図手ぬぐいを手に、ことちゃん愛を語る。
(2020.1.11)