上杉謙信の居城!難攻不落の春日山城跡へ

今年のGWは10連休。いつもなら嬉々として旅行の計画を立てるのだが、世間が盛り上がれば盛り上がるほど自分の温度がどんどん下がるタイプの天邪鬼の私は、大型連休にも関わらず珍しく遠出をしないことに決めた。
その代わり、故郷の新潟に籠り、じっくり観光しよう。私は高校卒業まで新潟に住んでいたが、地元はほとんど観光したことがない。いい機会だ。

5月2日。昨日までぐずついていた天気が嘘のように晴れ、ハイキング日和。こういう日は、なるべくお外で過ごしたい。自分のペースで歩きながらゆっくり景色を楽しめる所がいい。ふと、上杉謙信の居城・春日山城跡が浮かんだ。

ところがこの春日山城跡、公共交通機関でのアクセスがなかなか難儀なのである。
最寄り駅は、えちごトキめき鉄道の春日山駅。駅から城跡の登山口までは徒歩約30分程度らしい。
歩けなくもないけど、このあと山歩きをするので、できれば体力を温存しておきたかった。

バスで行くなら、頚城バスの「春日山・佐内線」。
直江津~春日山~高田を結んでおり、3駅どこからでも春日山下まで運んでくれる。
ただし、土休日は1日8本。今日の私の旅程では接続がやや難しい。

直江津駅にレンタサイクルがあるという情報が出てきた。
数年前の情報なので状況が変わっているかもしれないが、直江津駅はこのあたりの交通の要。比較的大きい駅なので何とかなるだろう。バスなりタクシーなりあるだろうし、仮に城まで行けなくても他に見るところもあるし、というわけで、とりあえず直江津目指して出かけてしまったのである。

駅なのに港の風情。豪華客船・直江津駅

直江津駅に到着したのは昼。

ここ直江津駅は、JR信越本線とえちごトキめき鉄道日本海ひすいライン・妙高はねうまラインが乗り入れている。
えちごトキめき鉄道の直営駅で、駅名標もこの通り、トキてつだ。

直江津駅 駅名標

2000年4月に完成した駅舎は、駅コンビニなどが入っている今時の駅になっているが、
ここの駅のコンコースには駅弁屋さんが立っており、「鱈めし」などの名物駅弁が買える。

コンコースに立つ駅弁屋さん

 

駅北口を出て振り返る。

客船の形をした駅舎
船の形をした駅舎に、マストのような時計台。すこし離れて見ると浮かび上がってくる風景・・・港。
今しがた列車で着いたばかりなのに、船で海を越え更に遠くに旅立つような高揚感がある。

だが私が今から乗るのはチャリだ。まずはチャリを探さなければ。
観光案内所で尋ねると、まちの自転車屋さんで借りることができるという。
周辺地図を貰って春日山までの道を聞き、他にもヤマザクラの名所など見どころをたくさん教えて頂いた。
あまりに情報量が多くとても回り切れなかったが、直江津に宿泊するのならば丸一日充分に楽しめるに違いない。

直江津駅北口外にある駅そば「直江津庵」で昼食。

ここは駅弁業者「ハイマート」さんが経営している。地産地消を掲げ、ゲソ天・もずく・メギスなど、地場の食材を使ったメニューが多い。
ここで、メギス天うどん(500円)を頂いた。

大量の海苔トッピングで隠れているが、メギスがまるまる一匹載ってる。さっぱりした白身の天ぷらは、鰹出汁をたっぷり染み込ませて食べると美味しい。

いざ難攻不落の山城へ、チャリで。

お腹が満たされたところで、チャリを漕いで春日山城を目指す。
県道185号を真っすぐ、御館川を越えると山はもうすぐそこに見えてくる(実際にはまだかなりあるが)

ここから先は、田んぼの中に突然「毘」の幟が現れたりと、だんだん戦国時代に誘われていく感覚に陥る。

駐車場が点々とあるので、どこまでチャリで行くべきか悩ましい。様子をさぐりながら登る。
車道は舗装されているが、だんだん勾配が急になるため、チャリで登るのが困難になっていく。
ついにチャリを漕げなくなり、降りて手で押しながら歩いたけどかなりつらい。坂だから立ち止まるとチャリが後退してしまう。息切れしてゼイゼイ言いながらチャリ押して小走り。その必死さ泥臭さ、とても観光客の姿とは思えない。

神社そばの駐車場に停めさせて頂き、春日山神社へ。
駅からここまで、途中でトイレ借りたり水分補給したり景色眺めてボケっとしながらだいたい40分くらい。

春日山神社境内では、上杉おもてなし武将隊と、殺陣集団の越後軒猿衆の演武が行われていた。

上杉おもてなし武将隊の演武

越後軒猿衆の演武

 

 

 

 

 

この演武がめちゃめちゃカッコいいのである。
子供たちの演武体験コーナーなどもあり。子供に混ざって体験したいと思ってしまった大きいお友達がここにいる。

春日山城跡に登る

演武を見た後は、いよいよ春日山城の散策を開始。

春日山城はこの通り、山がまるっと城跡である。

春日山城跡めぐり マップ

謙信公の銅像を起点に、右回りでも左回りでも、一周して戻ってこられる。
特に順路も定められていないので、春日山神社に参拝した後、神社右手の千貫門から反時計回りに回ってみた。

遊歩道

昨日までの雨で少しぬかるんだ歩道をずんずん登っていく。
散策というよりは、ちょっとした登山と言っていい。

下の駐車場に止まっていた車や神社境内の賑わいからして、今この山にはそれなりに人がいるはずだが、ものすごく静かだ。
空堀や土塁など、険しい地形を利用した山城の攻防を想像しながら古道を歩く。

時折視界が開けると、広がる景色。

天守閣跡からの眺め

(天守台跡付近からの眺め)

戦国時代の山城の遺構と、頚城平野を一望する雄大な景色を交互に眺めながら山を一周。
登ったり降りたり、体を動かしてグングン歩みを進めているのに、心は遠い昔にタイムスリップして穏やかな心持ちだ。

天守台を過ぎると道は下りとなる。
二の丸の側にある樹齢500年の松は、昨冬の雪の重みで折れてしまって養生中だった。

松の根

ここにあったはずの松の大木。謙信公も見ていたといわれている。

大木と言えば、三の丸の米蔵・三郎景虎宅阯にあった切株も結構な大きさだ。

巨大な切り株

一番大きいのがこれ。1メートル以上はあるだろう。付近に他にも大きな切株がいくつかあった。

下りはあっという間。舗装された道路が見えてくると、戦国時代へのタイムトリップもおしまい。

舗装された道路

お館様、ただいま戻りましてござる。

謙信公銅像

 

おまけ

上越市埋蔵文化財センター前にある謙信公騎馬像。躍動感のある騎馬姿は、見る角度によって同じ像とは思えなくなるほど、違うストーリーを描き出していた。

 

謙信公像(横から)

謙信公像(下から)

 

 

(2019.5.2)